慣れないスポーツや引っ越しの手伝いなどでカラダを激しく動かすと、翌日以降に筋肉痛に襲われることはありませんか?
これを、専門的には「遅発性筋肉痛」と呼ばれています。
長く運動から遠ざかっている場合、初めのうちは筋肉痛が起こります。(起こらない人もいます)
やがて筋肉痛は出なくなりますが、だからといって効いていないわけではありません。
筋肉痛の有無はトレーニングの成果の目安にならないのです。
ただ、筋肉痛がきたほうが「やった感」は感じられますよね。
だから筋肉痛がこないことに落ち込む人もいています。
ですが、そもそもトレーニングで筋肉痛がなぜ起こるかというメカニズムはまだ100%解明されていないのが現状です。
かつて筋肉痛は筋繊維の損傷や炎症によって生じると考えられてきました。
損傷や炎症が起こると確かに痛みを感じる物質が分泌されてくるのですが、詳しく調べてみるとかなり激しい筋トレをしても筋繊維には大きな損傷や炎症は生じていないことがわかってきました。
現在最も有力な仮説は、筋繊維から漏れ出した物質の影響を受けて、脳で痛みを感じる「閾値」が下がるというもの。
ここでいう「閾値」とは、ある反応を起こすときに必要な最低限の刺激のことです。
「閾値」が下がると普段ならなんでもない動きを強い刺激と感じてしまうので、筋肉痛が起こってくるのです。
脳の「閾値」を下げる物質としては、筋肉の伸縮によって筋繊維から出てくるATPやアデノシンが有力候補。
ともに筋肉にエネルギーを供給している物質です。