現在もっとも有力な仮説は、筋繊維から漏れ出した物質の影響を受けて、脳で痛みを感じる「閾値」が下がるというもの。
ここでいう「閾値」とは、ある反応を起こすときに必要な最低限の刺激のことです。
「閾値」が下がるとふだんならなんでも動きを強い刺激と感じてしまうので、筋肉痛が起こってくるのです。
脳の「閾値」を下げる物質としては、筋肉の伸縮によて筋繊維から出てくるATPやアデノシンが有力候補。
ともに筋肉にエネルギーを供給している物質です。
運動の初期は、神経系の適応がまだ起こっていないので、筋肉は準備ができていないうちに唐突に伸縮させられます。
すると不意打ちを受けた筋繊維から、脳の「閾値」を狂わしてしまう物質が出てくるのです。
これは、慣れない運動から筋肉を守る防衛本能のひとつといえるかもしれません。
神経系が適応して運動に慣れると、筋繊維が不意打ちを受けることができなくなります。
その結果、筋肉痛がでなくなるのです。
この有力な仮説に従うと、筋肉痛がなくなるのは神経系の適応が起こった証拠。
筋肉痛がなくなっても、筋肉を完全に疲労させるオールアウトができていれば、筋肉は順調に成長し続けるはずです。
筋肉痛は通常筋トレの翌日に出て、ほどなく消えます。
中2〜3日の間隔でトレーニングしていれば、次のセッションのときに激しい筋肉痛が残っていることはないでしょう。
もし筋肉痛が残っているうちに次のトレーニング日を迎えたら、とりあえず1セットやってみます。
強い痛みを感じることなく、いつもの負荷で8回から12回できたら合格。
そのままトレーニングを継続します。
できなかった場合は疲労からまだ回復していない可能性がありますから、その日は休止して翌日改めてトライしてください。
休養もトレーニングのうちなのです。